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野坂祐子
大阪大学大学院人間科学研究科 臨床心理士/公認心理師
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「自分が加害者になってしまった」というのは、それが〈よくないこと〉だと思っているからかな。ちょっとヤバイかも…と感じて相談してくれたのは、勇気ある行動だと思います。
だれだって、こんなときは「ま、いっか」「このくらい、たいしたことない」と、ごまかしてしまいたくなるものだからね。では、何が〈よくないこと〉だったんだろう。家族であっても、からだを触るのは境界線の侵害。
境界線とは、安全や尊重に欠かせない見えないラインです。からだを勝手に見たり、触ったりすることは、お互いを大事にするラインを踏み越えています。
「興味があった」「ちょっと触っただけ」というのはあなたの言い分で、自己中心的な考えでした。「でも、幼い頃は一緒にお風呂に入っていた」「妹はまだ気にする年齢じゃない」と思うかもしれません。
でも、境界線は成長に伴って変化します。あとから気づいて傷つくこともあります。
あなたがしたことは、境界線のルールを破る行為で、性暴力にあたります。どうして、そんなことをしたんだろうね? 「異性の体に興味があった」と思いがちですが、性暴力は性欲のみで起こるものではありません。
友だち同士での「ズボンおろし」や「スカートめくり」の経験はありますか? 性欲ではなく、「いじめ」や「同性同士のノリ」だったんじゃないかな。
性暴力は、ストレスを弱い立場の人にぶつけることや「これは遊び・ふつう」という思い込みによって起こります。
家庭や学校で境界線が守られていなければ、他者の境界線を破ってもかまわないと思うかもしれません。もし、あなたが知らぬ間にひどいことをされたなら、「どうして?」って思うんじゃないかな。相手に謝るよりも先にすべきことは、自分でも「どうしてか」を考えることです。
あなたは「加害者」という存在ではなく、「加害行為」に向き合う責任のある若者です。
ひとりでかかえるのではなく、身近な大人に正直に話してみよう。それが責任を果たす第一歩です。
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阿部 真紀
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勇気を出して、ここに相談してくれてありがとう。
自分が加害をしているかもしれないということに気づいて、それを話しに来てくれたあなたには大きな力があります。
2歳下の妹の体を触ったことを、暴力かもしれないと気づくことができ、そして、ここに相談しに来てくれることができましたね。
妹が普段通りにしているとしても、気づいているかもしれません。
信頼していたあなたに対して、とても悲しい気持ちになっているかもしれません。
妹さんにも、あなたにも、助けが必要です。
妹さんを守り、そして、あなたがまた同じことを繰り返さないためにも、できるだけ早く、家の人や周囲のおとなに話してほしいです。
性や異性の体について興味があることは、悪いことではありません。
性についてはセイシルでたくさん学んでください。
ただ、これ以上あなたに、同意なく人の体をさわることをしてほしくありません。
周りのおとなに話すことが、あなたとあなたの妹を助けてもらうことにつながります。
ここで話すことができたから、きっと話すことができます。
1件のコメントがあります
俺も性についての興味あるから気持ちわかる!(中1)
2024.12.01 12:18