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にじいろ
性教育講師/思春期保健相談士
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つらい出来事を話してくれてありがとう。
私が中学生の時も、ズボン下ろしが男子の中で流行っていました。
当時、私は自分がする側でもされる側でもなかったので、「やめたらいいのに」と思いながらも、「やめなよ」と言うこともできず、「男子のよくある悪ふざけ」として見過ごしてきました。しかし、今、からだやこころ、性のことを勉強するようになって、これは許されないことだと気づきました。
もし自分だったら。パンツが見えるだけでもつらいのに、性器まで見られてしまったら。想像しただけで胸が痛いです。
性器は体の中でも特別な場所で、いつもは隠している場所ですから、意図せず見られる形になるのは人権侵害で、性暴力のひとつです。
トラウマになったり、不登校になったりする人もいます。
友達だから、同性だからと許されるものではありません。ですので、あなたは「いたずらの範囲」だとガマンしなくてもいいんです。
「いや」「やめて」「つらい」と言ってもいい。
でもこれまで一緒にやってきた相手に「もうやめよう」と言うのは勇気がいることですよね。
私はぜひ、大人の力を借りてほしいと思います。あなたにはもうつらい思いをしてほしくないし、やられたからといってやり返さないでほしい。
それは他の子達にも同じ思いです。
笑って平気なフリをしていても実はつらい思いをしている子や、これってどうなの?と心配している子が他にもいるかもしれません。
ぜひ話がしやすい先生やスクールカウンセラーの先生に話をしてみてください。
私が子どもの頃は、ズボン下ろしなどを「よくあること」「これくらい」と多くの大人が見過ごしてきたかもしれませんが、今はいけないこと、なくしていこう、という大人が増えています。
つらい気持ちを聞いてもらったうえで、今後のことを一緒に考えてもらえたらいいなと思います。
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福島充人
日本男性相談フォーラム代表理事 / 臨床心理士 / 公認心理師
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いたずらの中で予期せぬ事態になってしまいつらかったとのこと。
きっと相談をするのにとても勇気がいることだったのでは、と思います。「よくないこと」をあえてやることがたまらなく楽しかったりすることってありますよね。
下着で隠れる部分など、自分だけの領域のことをプライベートゾーンと呼びます。
ズボン下ろしがいたずらとして楽しく感じられたのは、やすやすと人に見せるべきではないプライベートゾーンを人前にさらすことで「恥ずかしい思いをするかもしれない」というスリルを楽しんでいたのかもしれません。そしていたずらの中でつらい出来事が起きてしまった。
パンツまでずらされてあなたの心が傷ついたという事実はとても大切です。
それは「いたずらだからしょうがない」では済まないかもしれません。
今回の件でもうやりたくないと思ったのなら参加しないようにしましょう。
何か月もたってもパンツを下ろされたときのことを何度も思い出したり、眠れない、気持ちが休まらないなどの状態が続くようなら相談窓口を利用したり、専門のお医者さんに相談をしましょう。また、相手が悪意をもってあなたにつらい思いをさせようとしたのならそれは許されないことです。
謝罪をして欲しい気持ちがある場合なども含めて学校の先生などに仲介をお願いしてみても良いかもしれません。盲点になりがちですが、もう一つ大切な視点があります。
それは性器(ちんこ)を見られるのがつらいように、見たくないのに性器を見てしまうことも心の傷になる可能性があるということです。ズボン下ろしのメンバー以外にも見られてしまうかもしれない場所でズボン下ろしをするなら、性器を見られることでつらい思いをするかどうかは関係なく、遊んでいる人たち全員が加害者とみなされる可能性があることを覚えていてくださいね。
その場にいる人たちが安心できる遊びで楽しい時間がすごせますように。
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モヤパン
性のモヤモヤから生まれた妖精
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性被害にあった時は、警察または性暴力・性被害の相談窓口にも相談してみてね。