-
坂上明子
武蔵野大学 看護学部 教授
-
将来の妊娠・出産を視野に入れて、今から気を付けることに意識を向けていらっしゃるのは素晴らしいことだと思います。
やせや肥満はともに不妊症の原因となります。
体格を示す指数(BMI:Body Mass Index)は、体重〔Kg〕÷(身長〔m〕)2で計算することができます。
18.5以上25.0未満が普通体重です。
妊娠前のやせは、不妊だけでなく早産や低出生体重児の出産にもつながりやすく、妊娠前の肥満は、妊娠中の合併症や難産にもつながります。
「やせたい」と思っている女性は多いかもしれませんが、今から適正な体重にコントロールしておくことは重要です。
一度、ご自身のBMIを計算してみてくださいね。妊娠前からバランスの良い食事をとることや、運動習慣があることも妊娠合併症のリスクを減らすことにつながります。
高校を卒業すると、意図的に運動をしようと心掛けないと運動する機会が減ってしまいます。習慣としてできる運動を見つけましょう。また、性器クラミジア感染症や淋菌感染症といった性感染症は不妊症の原因となることが知られています。
性交経験のある場合は帯下(おりもの)の異常や下腹部痛を感じたら、婦人科で早めに相談をしましょう。
しかし、性器クラミジア感染症の90%、淋菌感染症の50%は自覚症状がありませんので、妊娠を望まない性交時はいつでもコンドームを確実につけて性感染症を予防することが重要です。
感染が明らかになった場合、パートナーも検査や治療を行わないと、せっかく治療をしても再感染してしまいます。
パートナーも同時に取り組むことが必要ですね。
さらに、喫煙は男女ともに不妊の原因となります。
一般的なタバコだけでなく、「非燃焼・加熱タバコ」も、燃焼式のタバコとほぼ同レベルのニコチン等の有害物質が含まれていると報告されています。
喫煙を始めてしまうと、禁煙するのは難しく、普段からタバコを吸わないようにしましょう。
-
島袋朋乃
産婦人科医
-
将来の妊娠に備えて、なおかつ自分自身の健康のために、女性やカップルを対象として健康管理を促す取り組みのことをプレコンセプションケアといいます。プレコンセプションケアのなかでも中高校生のうちから知っておいてほしい・取り組んでおいてほしいのは、
・バランスのよい食事をこころがけ、適正体重をキープする
・1週間に150分ほど運動する習慣をつける
・喫煙や受動喫煙を避ける
・危険ドラッグや有害な薬品を使用しない
・ストレスをためこまない
・婦人科のかかりつけ医をつくる、生理の悩みやトラブルを放置しない
・避妊方法の種類や、避妊に失敗したときの対処法を知っておく
・感染症から自分を守る(風疹、B型/C型肝炎、性感染症など)
・風疹ワクチン、HPVワクチンを接種しておく
・パートナーも一緒に健康管理をする
・定期的に歯科検診を受ける
・持病と妊娠について知っておく
・家族の病気を知っておく
・いつごろ、何人子どもが欲しいか、ライフプランを考えておくといったことです。これらの取り組みは、将来生まれてくる子どもたちの健康にもつながります。
セックスを経験した後は、少なくとも2年に1回は子宮頸がん検診を受けるようにしましょう。
将来パートナーができて具体的に妊娠を意識し始めたら、葉酸のサプリを飲み始めておくのも大切なことです。また、子どもを持つ人生が全てではありませんが、35歳を過ぎると妊娠率が右肩下がりに低下していくことも、事実として覚えておいてほしいことです。
1件のコメントがあります
子宮頸がんワクチンを打つ。
2024.08.23 16:58