
性の妖精モヤパンがついに深夜ラジオに初挑戦!みんなの性や恋愛の悩みにお答えする特別番組“モヤパンのオールナイトズッポン”が放送されます。
「今時ラジオ?インスタLIVEじゃないの!?」というツッコミはいざ知らず、どこから聞きつけたのか番組には悩める若者たちから、次々とメッセージが届いています。
お便りの内容は…あれ?あれも、これも、恋人からの暴力(=デートDV)にまつわるお悩みばかり!どうやら今宵はデートDVについて、みんなと一緒に考える必要がありそうです。
登場人物
-
コマチちゃん
茨城県水戸市在住の16歳、県立高校1年生。部活は吹奏楽部。 ハロプロと韓国アイドルBTSが好き。同級生のヒカルくんと交際中。 -
モヤパン
悩める若者の恋愛や性のモヤモヤから生まれた謎の妖精。コマチちゃんと行動をともにすることが多いが、その生態に関してはいまだ謎が多い。
モヤパンのオーーールナイトズッポン!
一夜限りの特別番組“モヤパンのオールナイトズッポン”、パーソナリティのモヤパンです
アシスタントのコマチです
この番組はティーンのみんなから性や恋愛のお悩みにわたしがお答えして、ズッポン!スッキリ!と解決する番組です!
モヤパンに答えてほしいお悩みがある人は、ツイッターで「#オールナイトズッポン」というハッシュタグをつけてお送りくださーい

カップル間の暴力「デートDV」には5種類の型がある!
それでは早速全国の10代から届いた恋愛・性に関するお便りを読んでいきましょう。まずはこちら、福岡県在住の16歳、ラジオネーム【わたがしパニック】さんからです。
“妖怪さん、こんにちは…”
妖怪じゃなくて、妖精ね。はい、こんにちはー!
妖怪さん、こんにちは。
私は福岡県在住の16歳の女子高生です。最近私には人生で初めての彼氏ができました。同じクラスの人で、席替えで隣同士になってからお互いに意識し合うようになり、彼から告白されたのが馴れ初めです。彼はすごく優しくて毎日一緒に帰ったり、休みの日は水族館へデートに行きました。とても楽しかったです。
でも近ごろ、彼がおかしいんです。教室でクラスメイトの男子と話していたら、彼が割って入ってきて『俺以外の男と話すな!浮気なんて絶対に許さないからな!』と怒鳴られました。凄く怖かったです。 その他にも私のLINEに入ってる男の連絡先を全てブロックしろと命令してきたり、5分以内に返信しないと私が気づくまでずっと電話をかけてきます。不在着信が20件や30件も溜まることもよくあります。こないだなんか塾のテスト中に50件以上もかかってきていました…。
普段はとても優しい良い人だし初めてできた彼氏だから別れたくないんだけど…でも、彼のことが怖いです。 恋愛経験が全く無いので、これが普通のことかおかしなことかもわかりません。モヤパンどうすればいいと思いますか?
わたがしパニック(16歳・福岡県)
【わたがしパニック】さん、お便りありがとうございます。メールが読まれたので番組特製のステッカーを送らせていただきます。
それでは本題に入りましょう。初めてできた彼氏が普段はとても優しいけど、男友達と話していたり、LINEの返信が遅いと怒鳴ってきたりするのね。とてもショックで辛い出来事だったと思う。
恋愛経験が無いからこの状況がよく分からないとのことだけど、客観的に話を聞く限り【わたがしパニック】さんの彼の行為はデートDVにあたると思われるわ。
「デートDV」って言うと?
コマチちゃんはDV(ドメスティックバイオレンス)っていうのは聞いたことある?
テレビのニュースなんかで聞いたことがあるよ。たしか、夫婦の間での暴力でしょ?夫が妻をぶったり…
よく知っているわね。DV(ドメスティック・バイオレンス)は一般的に「夫婦や恋人などの親密な関係の中で起こる暴力」という意味で使われる言葉なの。近年、世界中で女性の権利を守ろうという流れの中で、多くの女性被害者がいる“DV”をなくそうという取り組みが広く行われてきたわ。
日本でも2001年に「DV防止法」という法律ができて、それまで「家庭内のこと」として見過ごされてきたDVを「犯罪となる行為」として定義したの
DV防止法って割と最近の法律なんだ。じゃあそれまではDVが放置されてたの?
DV防止法ができる前は、夫婦間の暴力は「家庭内のトラブル」であって犯罪のうちには入らないと考えられていて、警察もほとんど介入しなかったの
へんなの。夫婦であろうと、暴力は暴力なのにね
そうよね
でも、DVは結婚した夫婦だけの話なの?
いいえ。DVは恋人関係も含む“親密な関係性”における暴力のことを言うの。実際、未婚のカップル間でのDVも決して少なくないの。交際経験のある女性の44.5%、男性の27.4%が恋人からの暴力を経験しているという調査もあるわ。最近はカップル間で生命に関わる暴力事件も数多く起きているし、未婚の恋人同士でも深刻な暴力に発展することがわかってきたわ。
近年ではこうしたカップル間で起きる暴力を「デートDV」と呼んで、それを防止しようと社会全体で取り組んでいるの
カップル間のDVのことを「デートDV」っていうんだね。
でも【わたがしパニック】さんは、殴られたり、蹴られたりっていう暴力はふるわれていないよ。それでもデートDVに当てはまるの?
殴ったり蹴ったりっていう身体的な暴力もDVの一つだけど、暴力の種類はそれだけじゃないの。いろんな形があるのよ
例えばどんな形があるの?
DVにあたる暴力には、大きく5種類あるといわれているわ
1身体的暴力

2精神的暴力

3経済的暴力

4性的暴力

5行動の制限(社会的暴力)

こんなにあるんだ
1つ目の身体的暴力はわかりやすいよね。相手の身体を傷つける物理的な攻撃を加えること。“暴力”と聞いてみんなが一般的に想像するものね。
2つ目は精神的暴力は「死ね」とか「ブス」とか相手が傷つけたりバカにすることを言ったり、相手を無視したりして心を傷つける暴力。
3つ目の経済的暴力っていうのは、相手にお金を使わせたり、お金を借りて返さなかったりして経済的なダメージを与えること。
4つ目の性的暴力は性的同意をとらずに性行為をしたり、避妊に協力しなかったりといういわゆる“性暴力”のことね。
そして5つ目の行動の制限っていうのは、いわゆる「
【わたがしパニック】さんのお便りにある「男友達と話していたら怒鳴られる」ってのは精神的暴力と行動の制限のあわせ技だし、「LINEの返信が遅いと電話が鳴り止まない」っていうのも行動の制限に該当するんじゃないかしら
うーん、束縛も暴力の一つのカタチなのか…。それが暴力にあたるんだって知らなかったら、自分がデートDVの当事者だってなかなか気づけないんじゃないかな?
そうね。「カレの束縛が激しい」ことを冗談のように話したり、「パートナーのことが大好きだから束縛しちゃう」なんて束縛が愛の証明みたいに語られることもあるけど、「束縛」はひとつの暴力のカタチになりえるんだってことは頭に入れておいてほしいわ
愛が支配に変わるとき、デートDVが生まれるゾ!
束縛に関してもう一通、束縛してしまうという加害者側からのお便りも頂いていたのでご紹介します。北海道在住のラジオネーム、【寒太郎】さんからです
モヤパンこんちわ。僕は15歳の中学3年生です。付き合って5ヶ月の彼女がいます。僕は彼女のことが大好きです。なので僕と会っていない時も彼女が何をしているのか常に知りたいと思い、彼女に「位置情報共有アプリを入れてほしい」と言いました。すると彼女は「いつも見られてるなんて気持ちわるい。これ以上束縛しないで」と拒否したんです。
もしかして彼女はなにかやましいことをしているんでしょうか?まさか僕のいないところで、浮気をしていたりするのでは…と心配です。
そもそも位置情報共有アプリの何が悪いんですか?お互いの居場所を確認できれば、ふたりとも安心できるはずなのに…。彼女が僕の愛を理解してくれず、悲しいです
寒太郎(15歳・北海道)
【寒太郎】さん、ありがとうございます。
お便りの中の「位置情報共有アプリ」っていうのが若者の間で流行っているらしいけど、相手がどこで誰と一緒にいるのか常に知ろうとするのは過剰な監視ね。デートDVの行動の制限にあたるわ。だから彼女の反応はフツーだと思います。
逆にそこまで相手に不信が募ってしまっている【寒太郎】さんが、モヤパンは心配です
確かに【寒太郎】さんはやりすぎちゃったと思う。パートナーのこと、もうちょっと信用できないかなぁ。
でもさ、私だって恋人が私以外の誰かと楽しそうに喋ってるのを見たらヤキモチを焼いて不機嫌になったり、「他の子を見ないで」って気持ちになると思うんだ
好きだからこそ「相手のことを全部知りたい」とか「自分のことだけを見てほしい」とか「片時も離れたくない。ずっと一緒にいたい」と思うのは当然のことだと思うよ。でも、付き合っていたとしても相手の時間や行動の自由を奪う権利はないから、気をつけた方がいいよね
でも、それが難しいんだよなぁ。
「好き」って気持ちで突っ走って、気づかないうちにDVをしないかなって心配になっちゃう…
DVをしない・されないために意識してほしいのは、付き合っているふたりの力関係。
ふたりが対等な関係性なら健全に愛を育むことができるけど、どちらか一方がもう片方よりも強い力を持って「支配の関係」に陥ってしまったときにDVが生まれるの。
だから「相手と自分の力関係が対等になっているか」というのを常に意識して付き合っていれば大丈夫よ

対等な関係
ふたりの力関係が対等で、お互いを尊重している
- 相手を幸せにしたい、楽しませたいという相手に向けられた愛情
- ふたりがお互いのことを信頼し、相手が自由に生きることを邪魔したり過度に干渉したりしない。
- ふたりでいると、自分らしくいられる
- 安心してNOが言える

支配の関係
対等でない(主従関係、上下関係)
- 自分の思い通りにしたい、満たされたいという自分の欲求
- 【支配する側】捨てられたり拒絶されることを過度に恐れ、相手を信用できず、相手を力でコントロールしようとする
- 【支配される側】相手をこわいと思う。自分らしくいられず、相手の言いなりになる
対等な関係じゃなくなって、上下関係ができてしまうとDVにつながるんだね
そうそう。ポイントは、対等な関係の根底にあるのは「相手に向けた愛情」で、支配の関係の根底にあるのは自分の欲求を満たす「欲望」ということね
特に思春期の恋愛は、自分本位になりやすいと言われているから注意して
どうして思春期の恋愛は自分本位になるの?
思春期は「自分はいったいナニモノなのか」って問いを考え続ける時期なの。いわゆる“アイデンティティ”ってやつね。
この期間は誰しも注意が自分自身に向きがちで、自分のことを考えるので精一杯。他人に注意を払ったり、他人のことを考える余裕がなかったりするの
へぇ〜そうなのか。私も気をつけなきゃ!
他に【寒太郎】さんにアドバイスはある?
恋愛に依存しすぎると、相手の気持ちを考えられなくなってしまったり、自分ではそれに気づかなくなってしまうのはよくあることよ。「自分はこんなに愛しているのに、相手が同じように尽くしてくれない」なんて思ったり、相手がちょっとでも反論したり別れを切り出した時に怒りが湧いたりとかね。
そんなときには「自分は自分、相手は相手」と、分けて考えることが大切よ。思い切って一度パートナーとの関係に距離を置いてみたり、友だちや家族に自分の気持ちを話したりして、お互いが安心できるふたりの関係性について考えてみるといいかもね!
あとは不安や寂しさに対して、自分が打ち込めるものを見つけたり、目標をつくってそれに向かって努力したりするのもいいわ。自分に自信を持つことや、生きがいを大切にすることで、相手を思いやる余裕も出てくると思うの
【寒太郎】さん、モヤパンのアドバイスをもとに、自分と彼女は対等な関係性なのか?とか、自分自身の楽しみや生きがいについて考えてみてくださいね。
それではここでツイッターで寄せられた意見をご紹介します

これはわかる。一時期「壁ドン」なんかも流行ったけど、あれはファンタジーであって実際にやられたらマジ怖いとおもうな
映画や漫画なんかで描かれていることも、正しくない危険な表現であることも多いから気をつけないといけないわね
それではここで一曲。イギリスが生んだ天才的アーティスト。エルトン・ジョンで『I Want Love』
オールナイトズッポンの前半はここまで。
後半ではリスナーからのお便りを通して、さらにいろいろな暴力の事例をご紹介します。
DVが深刻化していくサイクルについてもお話ししますので、チャンネルはそのままで!
