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田沼順子
国際医療福祉大学医学部感染症学講座/教授
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心配になるお気持ちはよく分かります。
しかし、性感染症は早くみつけて早く治療することが、ご自身のためにも、パートナーのためにもなります。何か症状がある場合は、なるべく早く医療機関に相談することをお勧めします。
相談先が分からない場合は、まず症状が出ている部分・臓器の専門家(皮膚なら皮膚科、全身症状なら内科、性器やその付近の症状なら婦人科や泌尿器科)に相談し、そこから必要性に応じて他の科を紹介してもらうのが良いでしょう。何も症状がない場合は、保健所でも検査が受けられます。
全国のほとんどの保健所等で無料・匿名でHIV検査が受けられ、梅毒や他の性感染症(淋菌・クラミジア感染症)の検査も受けられるところがあります。
また、性感染症全般に関する電話相談窓口をおいているところもあります。
検査を受けに行く前に該当の検査施設の最新情報を確認しましょう。検査方法は、血液検査、視診、女性の体を持つ人は腟や子宮の入り口のおりもの、または尿検査です。
クラミジア、淋菌、カンジダ、トリコモナスは腟や子宮の入り口のおりものを採取して検査します。痛みはありません。
男性の体を持つ人の場合は尿で検査します。HIV、梅毒、骨盤内クラミジア感染の有無は血液検査を行います。
性器ヘルペスと尖圭コンジローマは視診でわかります。性感染症は特別な病気ではなく、セックスに限らず性的なコミュニケーションの経験があれば誰でも感染する可能性があります。
あなたの心配事に寄り添ってくれる医療スタッフや相談員が必ずみつかりますから、ぜひ相談してみてください。
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島袋朋乃
産婦人科医
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性感染症にかかったかもしれないと思うと心配ですね。
しかも、婦人科ってどんなことするかよくわからないし、恥ずかしいし、受診するのにすごく勇気がいると感じるかもしれません。
検査の方法や費用を知っておくと安心につながると思います。。検査にもいくつか方法がありますが、代表的なものは子宮頸管粘液(子宮から出る体液)やおりものの検査です。
まず、内診台という動く椅子に座って、足をガバッと開く体勢をとります。
次に腟の中に腟鏡という器械をいれて、子宮頸管粘液やおりものを採取します。
採取にかかる時間は、子宮頸がん検診や超音波など他の検査を一緒に行わなければ、1〜2分程度です。
結果がわかるまでには1~2週間かかります。そのほか、性感染症の検査には、食塩水でうがいをしたあとの液体を使って行う喉の性感染症検査、血液検査などがあります。
費用についてですが、症状があれば保険適用で検査を受けることができます。
どの検査を行うかにもよりますが、一般的には検査のみなら2000〜3000円前後、治療が必要な場合はさらに2000〜3000円前後かかることが多いです。
症状がない場合は保険が効かず、その3倍ほどの値段になります。内診台に乗るときは、①とにかく全身の力を抜いてリラックスすること、②お尻は浮かさずにどーんとついた状態で、③ゆっくり深呼吸をすると、痛みを感じにくく、検査もすぐに終えることができます。
また、診察がどうしても辛い・痛いときは、やり方を工夫する、(場合によっては)中止することもできますので、遠慮なく医師に伝えてください。性感染症になったかもしれないときに、一番避けたいのは、放置することです。
悪化して入院が必要になったり、感染を広げてしまったりする可能性がありますし、性感染症の種類によっては将来の不妊症の原因にもなってしまいます。
「ここなら信頼できそうだ」と思うクリニックを見つけて、ぜひお早目に受診してくださいね。