セックスをしたことがないのに、性病になりますか?
-
池田裕美恵
海と空クリニック京都駅前
-
自分の性器に、他の人の口や性器、粘膜が触れていないのならば、性病(性感染症)にうつる可能性は極めて低いです。
稀に、公衆浴場やご家庭のお風呂でトリコモナスなどの性感染症がうつるケースが報告されていますが、月経開始前の小児での感染がほとんどです。性器に何かできものがあるな、と思ったら、まず、鏡で見てみましょう。実は性器はニキビができやすい場所です。毛穴に一致して膨らみがあり、真ん中に膿を持ち、少し痛い場合にはニキビの可能性が高いです。軟膏を塗るなどしてケアしてください。痛い範囲が広がるようなら、産婦人科や皮膚科に受診しましょう。
清潔にしないと、と焦るかもしれませんが、外陰部の皮膚は顔よりずっと薄くてデリケート。トラブルのあるときは、むしろあまり触らないようにして、お湯でさっと流す程度で十分です。
おりものが増えるのは、性感染症の他に、細菌性膣症やカンジダ膣炎のことがあります。これは、膣の中を守っている善玉菌が減って、雑菌が増えてしまうことによるものです。産婦人科に受診すると、早く治すためのお薬をもらえます。
性器のニキビも、おりものの増加も、外陰部の洗いすぎによることが多いです。性器の皮膚はとても薄く、石鹸や熱いお湯で洗うとすぐ乾燥して皮膚の表面に傷がつき、ニキビの原因になってしまいます。またビデや石鹸で洗いすぎて膣内の善玉菌が減ると細菌性膣症やカンジダ膣炎になりやすくなります。
-
福田眞央
TENGAヘルスケア教育事業部/保健体育教員/思春期保健相談士
-
基本的に性感染症は性行為を通じてうつる病気ですが、それだけが原因ではありません。
実は、日常生活の中で感染する可能性もゼロではないんです。例えば、唇や性器に感染するヘルペスは、友だちとメイク用品を共有したり、お風呂場でのタオルの共用などでもうつる可能性があり、意外と身近な場所にリスクが潜んでいる場合があります。
私が教員をしていた時、生徒が「おまたにブツブツができた!」とパニックになったことがありました。
彼女は性行為の経験がないと言っていたので、性感染症の心配は少ないと思ったのですが、彼女は水泳部で、みんなでシャワー室を頻繁に共用しているのが原因かも?と考えました。
そこで、レディースクリニックを勧めたところ、菌の感染による「毛嚢炎(もうのうえん)」という毛穴の炎症だと診断されました。これは性感染症ではないのですが、共有スペースでの感染リスクを改めて感じさせられる出来事でした。
タオルを人と共有しないようにしたり、プールはもちろん、公衆浴場やサウナで裸のまま直接床に座らない(椅子もしっかり洗い流す)ようにしたり、感染対策を行うことをおすすめします。
性器やその周辺に異常を感じたら、恥ずかしがらずに専門の医者に相談することが大切です。
自己判断で放置してしまうと、状況を悪化させる可能性もあります。
また、性感染症だけでなく、異常なおりものやかゆみがある場合、バランスを崩しやすい膣内環境の「変化のサイン」かもしれません。私自身が経験者で、洗いすぎてしまった結果、膣内の環境を乱してしまいました。軽い自己治療を試みたものの、結局は専門医の診断と治療が必要でした。
こういった体験から学んだことは、性感染症に限らず、自分の体に何か異変を感じたら、まずは信頼できる大人や医者に相談することの重要性です。そして、性器の衛生管理は過剰にならないよう、適度な清潔感を保つことが大切。
石鹸で洗いすぎたり、強くこすりすぎないようにしましょう。
参考:モヤモヤ相談室「女性器の洗い方」