無痛分娩は本当に痛くないのか
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柴田 綾子
産婦人科医/淀川キリスト教病院 産婦人科所属
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お産のときの痛みを心配する人はとても多いです。
「痛いことはしたくない」というのは、だれもが思うことであり
質問された方の気持ちも当然のことだと思います。無痛分娩(和痛分娩とも呼ばれます)は、背中や腕から
痛み止めの麻酔の薬を入れることで、お産の痛みを和らげる方法です。
無痛分娩のときに、どれくらい痛みを感じるかは人によって大きく違います。「無痛分娩で全く痛みがなかった」という方もいますし、
「無痛分娩をしても、すごく痛かった」という方もいます。これは、お産の進み方や、赤ちゃんの大きさ、出産する人の骨盤の大きさや
痛みの感じ方が一人一人違うためです。無痛分娩のメリットは痛みを和らげることができることです。
デメリットとしては、次のようなことがあります。・お金がかかる:多くの施設では自費になります
・陣痛(赤ちゃんを押し出すための子宮がギュッと縮むこと)が弱くなることがある
:促進剤という薬や吸引分娩など、出産のための追加のサポートが必要になることがあります
・お産が長引くことがある
:陣痛が弱くなりお産になるまでの時間が長くなることがあります
・麻酔の副作用がでることがある
:まれですが、血圧が下がって気分が悪くなったり、手足がしびれることがあります
・麻酔の合併症がでることがある
:非常にまれですが、頭痛や手足のしびれがしばらく続くことがありますこのように書くと、デメリットが多いように見えますが、
お産の痛みを和らげることができるのが、すごく大きなメリットです。
リラックスして出産に臨むことができ、出産する人の体力を温存することにもつながります。
また、お産の痛みが少なかったことで、産後の育児に取り組みやすくなったり、
次の妊娠・出産の希望が出たという方もいます。産婦人科医や麻酔科医の専門家が行っていますので
副作用や合併症が起こることは、かなりまれです。
欧米では、6割近いお産が無痛分娩で行われています。
(参考:https://www.jsoap.com/general/painless/q19 )
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みきてぃ
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自分の将来の妊娠・出産を今から考えていることは素晴らしいことだと思います。
出産にも色々な方法があり、その一つが無痛分娩です。出産と聞くと、痛いというイメージがありますが、無痛分娩は麻酔(痛み止め)を使って出産の時の痛みを和らげる方法をいいます。
普段、風邪を引いた時やお腹が痛い時にお薬を飲んだあと、薬の効き目が人それぞれ異なる様に、麻酔の効き方にも個人差があります。
無痛分娩を希望する人の中には、出産のときの痛みを和らげるほかに、痛みに対する不安や緊張を和らげて落ち着いて出産に臨む人もいます。デメリットとしては、麻酔をかけると痛みが弱まり、赤ちゃんが出づらくなることや、出産にかかる時間が長引くことがあります。
また、麻酔の副作用として血圧の低下や吐き気、稀ですが頭痛などの副作用の症状が挙げられます。出産のときに関係しているホルモンには、陣痛を強くさせるホルモン以外に、愛情ホルモンと呼ばれる不安な気持ちを落ち着かせるホルモンや、脳内麻薬と呼ばれる痛みを鎮めて幸せな気持ちをもたらすホルモンがあります。
陣痛(出産の時に赤ちゃんを押し出そうとする子宮の収縮による痛み)には痛みがあるときとそうでないときとの波があり、陣痛がお休みのときにウトウトする人もいます。
その波を乗り越えながら、心も身体も少しずつ赤ちゃんを迎える準備をしていきます。
出産の時の痛みは、他の体の部分の痛みとは異なり、痛みをやわらげる元々の体の仕組みもあるのです。