-
尾木直樹(尾木ママ)
教育評論家/法政大学名誉教授/CSE HUB代表
-
高校一年生だと、好きな人のことだけでなく、いろんなことに干渉してくる親の存在自体がウザいって感じるんじゃないかしら?
それはね、あなたが大人になってきた証拠なの。10代は脳や感情が大きく成長する時期。感情が豊かに、そして敏感になります。
特に10代後半は自我を固めていく時期でもあるから、大人に疑問や反発を感じたり、人と自分を比べて悩んだりもします。一方で、性ホルモンも活発になって、身体も急激に変化するから、時々心がアンバランスになるんです。
親がウザいと感じたり、反抗的になったり、理由もなくイライラしたりするのも10代特有の状態なんですね。親にもそういう時期があったはずですが、親になるとそのことを忘れて、つい口出ししてしまう。
あなたからすれば、親がいちいち聞いてくるのは「ウザい」と思うかもしれません。
でも、親はあなたがどんどん自立して、自分の手から離れていくことが「さみしい」のと同時に、あなたが傷つかないか、悲しまないか、問題があるなら何とかしてあげたいと心配しているだけなのです。だからね、ちょっと面倒かもしれないけれど、親から「子どもができるようなことはしちゃダメ」と言われたら、「わかってる」と言うだけでなく、例えばセイシルのサイトを見せてあげて、「私はこのサイトで学んでいるよ」と教えてあげてはどうでしょうか?
親はきっと驚くと思いますが、あなたが性について考え、正しい知識を得ていることにホッとするように思います。
その上で、「もし何か相談したいことが出てきたらちゃんと言うから」と伝えれば、親も安心できるかもしれませんよ。もちろん自分の気持ちや思いを素直に伝えることも大切です。
親と話す時は、「うるさいな」の代わりに、主語を「私」にして「(私は)何度も聞かれると、嫌な気持ちになるよ」というように、親の心配な気持ちも尊重しつつ、自分の気持ちや思いも伝えられたらいいですね。
-
大石真那
NPO法人HIKIDASHI代表/保健師/思春期保健相談士
-
「バウンダリー」という言葉を知っているでしょうか。
日本語では「境界線」と表現されます。自分が安心安全に過ごせる範囲は自分で決めていい。自分のしたいこと・したくないこと・されたいこと・されたくないこと・・・それはあなた自身に決める権利があります。
たとえ親子であったとしても踏み込み過ぎてはいけない。あなたが「このことについては話したくない」と思うなら、話さなくていいのです。一方で、私にも中高生の子どもがいますので、お母さんのお気持ちもよくわかります。
親は子どもが何かつらい思いをしないか常に心配ですし、子どもを危険から守る義務があります。
ただ、時にその「心配」が、あなたの身を案じているというよりも、お母さん自身が安心したいためのものになっていることもあります。
でもなかなかそのことに気づきにくい。親子のバウンダリーはそのくらい曖昧になりやすいんです。ではどうすればいいか。それは、何か他にお母さんのその「心配」を「安心」に変えられる方法を探すことです。
例えば、あなたが「ここまでなら話していい」と思うことは話す、決めた門限は守る、遅くなる時には連絡を入れる、など。
そうやってお母さんとの間に信頼を積み重ねていくことも大切です。
まだまだ親に守られながら暮らしているのは確かです。でも少しずつ自立していく時期でもあります。自分のバウンダリーを守りながらお母さんの安心もある程度は満たせる、そんな良い方法が見つかるといいですね。そしてもう一つ。お母さんの心配な気持ちの背景として考えられることとして、今の日本では充分な性教育を受けられる環境がまだまだ整っていないことが挙げられるのではないでしょうか。
自分や相手を大切にするためにも、お母さんに安心してもらうためにも、ぜひ彼と一緒にこのセイシルのサイトを参考にしてみてくださいね。
-
ひやまん
ピルコンフェロー、助産師
-
お母さんにパートナーとの関係のことを聞かれたり、口を出されたりしていて、鬱陶しく感じているのですね。
相談者さんも感じているように、親が子を心配する気持ちからくる言動なのだと思いますが、うんざりもしますよね。パートナーとの関係について、親には詳しく話したくない、いちいち口出ししてこないでほしい、こう思うのはとても自然なことです。
人にはそれぞれ、”ここまではいい”、”ここからは踏み込んでほしくない”という心の境界線があります。
「バウンダリー」という言葉で表現されることもあります。
これは、自分の安心・安全を守るための心のバリアのようなもの。一人ひとり違うし、相手や状況によってバリアの大きさが変化することも自然です。そして、友だちでも、恋人でも、そして親子でも、相手と心地いい関係でいるためには、この境界線(バウンダリー)をお互いに尊重し合えることが大切です。
「心配」という気持ちから、親は子どもの境界線を越えてくることがありますが、そのときは「ちょっとイヤだな」という気持ちを伝えて大丈夫です。
親子だから、何でも共有しなければいけないということはありません。
誰といつ、どのような関係を持つのかは、相談者さんが自分で決めてよいことです。例えば、「2人のことだから、そのことについてはあまり話したくないな。でも、お互いを大切に思った選択をしていこうと思っているよ。お母さんが心配してくれる気持ちは十分伝わっているから、何か困ったときは相談させてね。」というような形で伝えるのはどうでしょうか?
ここまでは話してOK、これ以上は話したくない、と線引きをしていくことで、少しずつお互いに心地いい距離感でパートナーの話ができるようになるかもしれません。
1件のコメントがあります
参考になりました。親から何か嫌な事を言われた時、逃げたり隠れたりしていいんだと思いました。
2025.10.13 15:43