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今井 伸泌尿器科医/聖隷浜松病院リプロダクションセンター センター長
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「早漏」の定義はいくつかあり、全世界共通の定義というものはない、というのが実情です。
有名な所では、DSM-5というアメリカ精神医学会が作成している診断基準では「腟内に挿入してから1分以内に射精すること」、国際性機能学会の基準では「初体験からずっと、毎回もしくはほぼ毎回腟内に挿入してから1分以内に射精すること」か「(以前はもっと長く我慢できたけど)我慢できる時間が短くなってきて腟内に挿入してから3分以内に射精すること」と時間を重視した定義となっています。
一方で、アメリカ泌尿器科学会とヨーロッパ泌尿器科学会の基準では、「腟内に挿入後、望むより前に射精が起こってしまうため本人とパートナーのどちらか、またはどちらもが苦痛を感じる状態」「挿入してから十分な時間射精を我慢できないこと」と時間は関係なく、本人と相手が満足できるかが重視されています。
そして、すべての定義が「挿入してから射精するまで」と「セックスをしている時のこと」であり、オナニーの時の射精は、そもそも「早漏」の定義の対象外ということになります。ちなみに、「遅漏」の方は時間の設定が難しいらしく、簡単に言えば「なかなか射精しなくて苦痛を感じてしまう状態」が「遅漏」ということになります。
つまり、セックスをしている時にお互いが望むタイミングで射精ができることが、早漏でも遅漏でもない望ましい状態ということになります。望む射精のタイミングは千差万別で、長いセックスを望む人もいれば短いセックスを望む人もいます。普段長いセックスが好きな人も時と場合によっては短く済ませたいと思うがあります。ですので、早く射精しようと思えば早く出せるし、長持ちさせようと思えば我慢できるといった具合に、射精をコントロールできるようになっておくことが重要なのです。もちろん、相手とどんなセックスを望むかを話し合うことも大切です。
ということで、射精をコントロールしようという意識をもって、これからのオナニーに励んでみてはいかがでしょうか。
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