ネットリテラシーとネットでのトラブル対応【弁護士監修】
情報化社会と言われる現代、SNSやインターネットにアクセスしない日はないという人も多いのでは?インターネットのおかげで生まれた出会いがある一方、インターネット特有のトラブルは後を断ちません。
そんな時代に生きる私たちに必要なのがネットリテラシー。ネットリテラシーとは、インターネットの“便利さ”も“怖さ”もキチンと理解し、ルールを守ってインターネットを使いこなす能力のことです。
今回はヒカルくんやコマチちゃんが巻き込まれたトラブルを例に、ネット上のトラブルへの対処や予防策を学びながら、ネットリテラシーについて学んでいきましょう。
登場人物
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コマチちゃん
茨城県水戸市在住。吹奏楽部に所属する高校1年生。ヒカルくんと付き合っている。 -
ヒカルくん
茨城県水戸市在住の16歳。県立高校1年生で部活はサッカー部。コマチちゃんと付き合っている。 -
モヤパン
悩める若者の恋愛や性のモヤモヤから生まれた謎の妖精。
コマチちゃんカップルをいつも優しく見守りつつ、はっきり物事を言うあねご的存在。
もくじ
架空請求・不当請求 エロサイトの罠
よーしテスト勉強でもするかー。でもその前に…スッキリさせて集中力を高めるために、エロサイトでもあさるか!
「エロ動画 無料」で検索…っと
いろんなサイトがあるな~。よしっ!今日はこの無料動画サイトにしよ。
「このサイトは18歳未満の閲覧は固く禁止します。あなたは18歳以上?18歳未満?」か。
まだ17歳だけどオナニーに年齢は関係ない!入場だ!
げっ、なんか怖い画面が出てきたぞ…!
「有料会員登録が完了しました。月会費は10万円を指定の口座にお支払いください。○○月○○日までにお支払いいただけないと法的措置を取らせていただきます。解約をご希望の方は下記番号までお電話ください」
…。
有料会員登録?10万円?なんだよコレ。
会員登録なんてした覚えがないし、「無料」って書いてあったじゃん
法的措置ってなんだ?逮捕されたり、訴えられたりするの?
10万円なんて持ってないけど逮捕されるのは嫌なんですけど…
ヤバい…!どうしよう…!?
誰かに相談しようかな。親に言ったほうがいい?
でも…エロサイト見ていたなんて言いづらいぞ
…。
「解約をご希望の方は下記番号までお電話ください」って書いてあるから、とりあえずこの番号に電話してみるか。
モヤパンからのアドバイス
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架空請求・不当請求にご用心!
こっそり見たサイトから、急に支払いの請求がきて焦ったことはない?
まったくの作り話による請求や、法的には支払義務が存在しない請求で、金銭をだまし取る詐欺のことを架空請求 や不当請求 というわ。
アダルトサイトがきっかけになることが多いから、そういうサイトを利用したいと思う人は、その危険性があることも心得ておいてね。今回のヒカルくんのケースのように「有料サイトに登録した」と思わせて不当な請求をするのは架空請求・不当請求の一つの手口でワンクリック請求といわれているわ。
動画の再生ボタンを押したり、間違ってアダルト広告をタップしたりしただけで請求画面が表示される場合もワンクリック請求という詐欺のやり口よ。くわしくはコチラ
東京都が運営している「こたエール」というサイトには、架空請求や不当請求に関する未成年の相談事例やそれに対するアドバイスが掲載されているわ
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年齢確認だけでは契約したことにはならない
ふつう、お金のかかる契約(有料契約)が成立するには、まず料金や契約内容、サイトの利用規約などを説明されていなければならないわ。そして利用者がそれらに同意した上で、「契約を申し込む」という意思表示が必要になるの。
でも、今回の場合、 ヒカルくんは利用規約や契約内容を説明されてもいないし同意していない。年齢確認に答えただけで、契約する意思表示はしていない。よって、契約は成立していないと考えられるわ。
契約が成立していない以上、あなたにはお金を支払う義務もなければ、退会やキャンセルの手続きをする義務もないわ。いくら催促されても無視してね。
スマホの請求画面が消えなくて困る場合は、ブラウザの履歴(キャッシュ)をすべて消すと、表示されなくなるから試してみてね。 -
問い合わせの窓口には、連絡しないで!
どんなに焦っても、サイトに記載されている番号に電話をかけたりメールをしたりしてはダメよ。あなたの個人情報が悪い人たちの手に渡ってしまうし、相手の巧みなトークで八方ふさがりな状況に陥ってしまう可能性もあるからね。
国民生活センターも業者への連絡はしないように警告しているから、参考にしてね↓
くわしくはコチラ
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相談は“公的な相談窓口”に
不安で誰か大人に相談したいという人は「消費者ホットライン」のように国の機関がやっていたり、各自治体(都道府県や市区町村)が開設している相談窓口に相談するようにしてね。
請求してきた会社名を調べて「〇〇(会社名) 詐欺 相談」のように検索して出てくる相談窓口は危険よ。相談窓口を装った詐欺集団の仲間のこともあるの。連絡してしまうと相談に乗るふりをして、結局はあなたからお金をだまし取ろうとするかもしれないわ。
公的機関や身近な大人など、きちんと信頼できる相手に相談してね。
くわしくはコチラ
エッチな画像・動画 全裸自撮りクレクレ男
ユーチューバーのA男、イケメンでおもしろい~。A男のインスタ見てるだけで癒されるー。
え、待って!A男、インスタのDM開放してるじゃん。既読すら付かないだろうけど、メッセージしてみよ
「初めましてA男さん。いつもYoutube見てます!大ファンです!」
ついにDM送っちゃった。
たぶん、きっと、ゼッタイ返信来ないだろうけど、少しドキドキする
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数時間後
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「コマチちゃんいつも僕のYoutubeチャンネルを見てくれてありがとう!ファンだなんて嬉しいな」
やば!A男から返信キター!
「まさか返信が来ると思っていなかったので、とても嬉しいです!!いつもYoutubeやインスタで見ている憧れのA男さんとDMで会話できるなんて…」
「普段はファンの子からDMが来ても返信しないんだけど、コマチちゃんのプロフィールを見たら可愛かったからつい返信しちゃった。」
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何気ないやりとりが続いたある日
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「俺、コマチちゃんのこと大好きだしもっと深く知りたいと思ってる。コマチちゃんのこと、いつもそばに感じていたいから、コマチちゃんの裸の自撮りを俺に送ってよ」
「恥ずかしいからそんなのムリです…」
「俺のこと好きなんでしょ?2人で秘密を共有すれば特別な関係になれるから、お願いだから送ってよ」
ええ~~~!どうしよう…。私、A男に求められてる?
A男には嫌われたくないし、送るべき??
モヤパンからのアドバイス
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好意を持つ人から求められると嬉しいっていうのは、自然な感情よね。
けれど、ネットで出会った人に自分の性的な画像を送るのはとても危険にもつながることよ。なにかのきっかけで誰かの手に渡ったり、ネット上に公開されたりするかもしれない。そうしたら不特定多数の人がコピーしたり拡散したりしてあなたのコントロールが及ばなくなってしまう危険性もあるわ。 -
18歳未満の性的な画像や動画は「児童ポルノ」
そもそも18歳未満の児童の性的な画像や動画は「児童ポルノ」に該当して、所持しているだけ(単純所持)でも犯罪になる可能性がある。だからあなたが未成年であることを知っていて裸の画像を要求してくる人は、違法行為をしようとしている人なんだけど、そんな人をあなたは信じられる?
たとえ恋人からの要求でも、性的な画像の送受信はリスクがあるわ。
児童ポルノの所持で恋人が犯罪者になってしまうかもしれないし、最近は「リベンジポルノ」といって、別れた腹いせに元交際相手の性的な画像をネット上に公開してしまう事件がとても多いからね。もちろん、相手に求められて性的な画像を送った方が悪いのではないわ。無理やり性的な画像を送らせたり、他の人やネット上に共有したり、「性的な画像を公開するぞ」等と脅す方が相手を傷つけていることになるのよ。
逆に、性的な画像を一方的に送りつけるのもセクハラになり得るわ。相手と仲良くなるためには、裸の写真を送る・送らせる以外のいい方法がないか、考えてみてね。
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ネットで交流する際の注意点
匿名のネットの世界ではいくらでも嘘をつくことができるということを忘れないで。
歳の離れた異性の人が、SNS上ではあなたと同年代・同性を装って近づいてきて、仲良くなったら「裸の見せ合いをしよう」と言って性的な画像を送らせる手口もあるの。そして、ネット上で交流する人に対しては、自分の名前や住所、電話番号、学校名などあなたを特定できる個人情報は簡単に教えないようにしてね。 「個人情報をバラされたくないなら〇〇しろ…」なんて脅迫につながるケースもあるからね。
性的な画像や金銭を要求されたり、脅されたら、相手のアカウントはブロックして、保護者や学校の先生、警察に相談してね。
相手がアカウントを削除する場合もあるから、証拠を残すために相手とのやりとりやプロフィールをスクリーンショットしておくといいよ。こちらも読んでね
- モヤモヤ
相談室 - 彼氏から「裸の写真を送って」と言われた
- モヤモヤ
誹謗中傷 軽い気持ちで悪口ツイート
芸人の〇〇、最近調子乗ってるなぁ。声大きいだけで全然面白いこと言わないし。そうだ、捨て垢※作ってあいつらのSNSに悪口書いてやろ
「一発屋のくせに調子乗んなよ。お前ら全然面白くないからな。早く芸人やめろー」
匿名の捨て垢だから俺が書いたって誰にもバレないし、最近ストレス溜まってたから良い発散になったな。
クラスの嫌いな奴の投稿にもこの捨て垢で悪口書いて嫌がらせしてやろう
モヤパンからのアドバイス
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ヒカルくんのように匿名であることで罪の意識が薄くなり、サブアカウントや匿名アカウント(捨て垢)でSNSに
誹謗中傷 ※を書き込む人が一定数いるのは事実ね。軽い気持ちの書き込みだったとしても、相手はどれほど傷つくかしら?
ネット上での誹謗中傷に悩んで命を断つ事件がいくつもおきているよね。
自分が書き込む前に、それを言われた人の立場に立って、その人の痛みを想像してみてほしいの。
相手が芸能人や有名人だったとしても同じ。生身の人間なんだから、悪口を言われたら傷つくわ。 -
悪口が犯罪になる可能性も
そもそも「匿名のアカウントだから誰にもバレないし、何を書いても問題ない」と考えていたら大間違い。発信者情報の開示請求をされたら、どこの誰が書き込んだか分かるわよ。
書き込んだ内容が犯罪に該当する場合は罰せられる可能性もあるわ。
悪口の書き込みが名誉毀損罪や侮辱罪に当たると判断される場合、書き込んだ本人の年齢、内容の悪質さや頻度その他事情によっては刑事事件として逮捕・勾留されて刑を科される可能性や少年事件として処分等を受ける可能性はあるわ。
誹謗中傷を受けた相手から民事事件として訴えられて、多額の賠償金を支払うこともあるからね。誹謗中傷は気軽にできてしまうけど、犯罪になり得る行為だし、一度ネットに投稿したら、いつまでも証拠が残り続けかねないもの。だから、ネットで何か発信(投稿)する際は、「匿名だから大丈夫」という考えは捨てて、あなたの投稿が相手とあなたの双方の人生に大きなマイナスの影響を与えてしまうかもしれないという考えを心に刻んで行動してね。
もし誹謗中傷の書き込みをして大事になってしまったら、このあと紹介する相談窓口や専門家である弁護士に対処を相談してね。
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あなたが誹謗中傷を受けたときは
逆にあなたがSNS上の誹謗中傷を受けた場合は、悪いのは誹謗中傷を受けたあなたではなく、誹謗中傷をしてきた人だということを忘れないでね。
あなたを傷つけようとする人から少し距離を置くのも一つの方法。 SNSには、見たくない投稿を見ないようにするための「ブロック」や「ミュート」機能があるわ。
また、通報や削除要請を、サービスの運営者に問い合わせができるよ。困ったときは周りの大人にも相談してね。
セイシルの相談窓口一覧にある「10代のための相談窓口」や、「ネットでのトラブルの相談窓口」に相談してみるのもいいかもしれないわ。SNSに疲れたり、嫌な思いをしたら、SNSと一旦距離を取ることをオススメします。
検索 ポルノサイトで性の勉強?
いつかセックスするときのために、きちんとやり方を勉強しないとな。
情報収集のために「セックス やり方」で検索してみよっと
げげ…!なんかエロい動画がたくさん出てきた。こんなの見たいわけじゃないのにな。動画サイト以外は…あった!
なになに?「男が考えるセックスが最高な女子の特徴」だって。…ナニコレ?
モヤパンからのアドバイス
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性に関連するワードを検索すると、アダルトサイトが出てきたり、ポルノ動画が表示されたりすることが多いよね。そうしたサイトや動画の中には、間違った情報や偏見、適切でない表現などがたくさん詰まっているわ。純粋に性の知識を得る目的で見てしまうと間違った知識を得てしまうかもしれないから注意してね。
「セックス 安全なやり方」とか「セックス 知識」などのようにキーワードをかけ合わせて検索することで、アダルトサイトやポルノを避けて、あなたが必要とするサイトにたどりつくことができるかもしれないわ。
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「検索上位=信頼できるサイト」ではない
もうひとつ、「検索上位=信頼できるサイト」ではないということも覚えておいて。
インターネットの世界の中には、さまざまな情報が無数にあるって、それをユーザーの求めに応じて整理し、表示してくれるのがgoogleやyahooなどの「検索エンジン」だよね。
検索エンジンはできるだけ正確で適切なサイトを表示しようと、改良を続けているけれど、毎日無数に増え続けるwebサイトやページの中身をきちんと分析して正しく評価できているとは言えない。だから、検索結果の上位に表示されることと、信頼できるサイトかどうかは関係ないと思っておいて。インターネット上には正しい情報も間違った情報もたくさんある。常に情報を疑って、それが正しい・信頼できるものかどうか、自分で見分けるクセをつけるといいよ。
正しい情報を見分けるポイント
(1)信頼できる機関や専門家が発信している情報源か確認する
厚生労働省や内閣府、WHOなど、国や国連機関の情報が信頼できる情報源です。また、医療従事者の監修のある情報は、信頼が増します。
ところが、その一方で国の機関や医療従事者が発信している情報でも、場合によっては偏りがあることもあります。
誰が、どんな目的で発信している情報か、注意深く読み解くことが大切です。(2)1つだけではなく、複数の情報源から判断する
他の関連機関や専門家がどのような発信をしているのかも、あわせて確認しておくと、より安心でしょう。
自分の身体のことで心配なことがあるときは、インターネットで情報を探すだけでなく、保健室の先生やよく行く病院のお医者さんに相談したらどうかしら?あなたの身近の専門家が、あなたに必要な情報を持っているかもしれないわ。
なかには相談にいったのに怒られたり、嫌な思いをした経験がある人もいるかもしれけれど、あなたの力になりたいと思っている専門家は必ずいるからね。「この先生とは合わないな…」と思ったら、違う専門家に意見を聞いたり、相談してみてね。自分と相性の合う専門家がいれば、心強いと思うわ。
ネット広告 しつこい広告にうんざり
あ、また出てきた。よく出るなぁ、この脱毛サロンの広告。SNSでもアプリでもyoutubeでもでてくるんだよなぁ。
「毛深いと恋人に捨てられる」とか「脱毛してないと嫌われる」とか、ちょっと傷つく言い方してて、見ると凹むんだぁ。
最近はニュースサイトの中でも脱毛体験の記事を目にするし、高校生youtuberも何人か同じ脱毛サロンに行った動画を上げてたし…。やっぱり高校生でも脱毛するのが当たり前なのかな?わたしも脱毛サロンに行くべき?
モヤパンからのアドバイス
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SNSなどのネット上では「〇〇しないとモテない」とか「〇〇だと嫌われる」なんていうネガティブな広告をたくさん目にするよね。
なかでも体毛や体型、体臭など人の外見や身体の特徴を取り上げてバカにしたり、不安を煽り立てたりする「コンプレックス広告」と言われる広告は、ルッキズム(外見至上主義)という外見による差別を助長する危険があるとして問題視されているわ。過激なコンプレックス広告を何度も見せられると、「自分はみんなに笑われているんじゃないか」と思ってしまったり、「どうにかしなきゃ」という脅迫観念に襲われてしまうかも。
でも、コンプレックス広告に書かれた文言は、世間一般やあなたの周りの友達のセリフではないわ。あなたを不安にして、恐怖を抱かせることで、モノやサービスを売りつけようと考えている広告主が言っているだけ。だから真に受ける必要はないんだよ。あなたの価値を決めるのは、他の誰でもないあなた自身。
あなたの身体をどうするか、あなたのお金を何に使うかもあなた次第だから、広告のセリフに従う必要はないからね。 -
みんなに同じ広告が表示されるわけじゃない
新聞やテレビ、ラジオの場合、ユーザーは同じ広告を見たり聴いたりさせられるけど、ネットやアプリの場合はそうじゃないの。
「ターゲット広告」といって、ユーザーの年齢や所在地、過去に検索したキーワードや閲覧したページなど、その人のあらゆる情報を分析して、より効果がありそうな広告を表示する仕組みになっているの。「ダイエット」と検索したユーザーには、痩せるためのサプリや近所のスポーツジムの広告がでる。あなたのスマホに表示される広告は、あなたにターゲットを絞って表示されているものであって、みんなが同じ広告を見ているわけじゃないの。だからよく目にする広告が、世間一般で流行っているとか、みんなに支持されているわけじゃないのよ。
「不快だな」と思う広告があったら、広告のスミっこにある「×(バツ)」または「i」ボタンを押した先の広告設定ページで、その広告を表示できないようにしてね。こちらも参考に
ネット広告最大手のgoogleから配信される特定の広告をブロックする方法について解説しているページです。
googleが把握しているあなたの情報(googleアカウントにひもづく)の一覧はこちらのページで確認できます。「広告のカスタマイズに利用する要素」に、あなたの興味・関心のあることがまとめられていて、消したい要素はクリックして「オフにする」を押せば除かれます。
- リンク
- 広告のカスタマイズ/google
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広告であることを見抜こう
また、広告とわからない広告もたくさんあるわ。
テレビ番組でも感動的なドキュメンタリーだと思って見ていたら最後に健康食品の紹介が出てきたりするけど、あれはナレーションのテンションがいきなり変わったり、BGMが変わったりするから広告だとわかりやすいよね。でも、ネット上では広告だということが分かりづらいコンテンツがたくさんあるの。ブログの中にはお金をもらって書かれた記事広告が混ざっていたり、ユーチューバーのチャンネルでも企業からお金をもって商品やサービスを紹介する「企業案件」がそれとわからないようにアップされていることもあるわ。
基本的に企業からお金をもらって作られた記事や動画は、【PR】や【AD】、【プロモーションを含みます】という表記で広告であることを示すルールがあるわ。
他にも【提供 〇〇】とか【sponsored by】、【presented by〇〇】、【powered by〇〇】などのように様々な表現があるから、それらを見たら「これは企業や商品をアピールすることを目的に作られたコンテンツなんだな」とわかった上で楽しんでね。
著作権侵害 パクりイラストで一躍人気者
SNSでバズってフォロワー増やしたら学校の人気者になれるだろうなー。このイラストレーターのアカウント、ネタツイは全くしてないけどイラストが素敵だからめっちゃフォロワーいるじゃん!
俺もネットに転がってるイラストを自分で描いたってことにしてツイートすればバズりそうだ。バレなさそうなイラストをパクってきて、高校生イラストレーターという肩書でツイートしちゃえ!
「FF外から失礼します。とても素敵なイラストですね。フォローします!」
「高校生でこのクオリティは天才ですね!」
「めっちゃ上手い!拡散します!」
みんな天才って褒めてくれるし、高校生のイラストレーターは珍しいから話題性も出て凄くバズってる。俺めっちゃ人気者じゃん!
「これって、イラストレーターの〇〇さんのイラストじゃないですか?」
「イラストの盗用は犯罪ですよ!」
「おい犯罪者!」
︙
最初は俺を称賛するコメントしかなかったのに、今では批判のコメントしか来なくなった。
人気者になりたいって軽い気持ちで始めたのに、こんな大ごとになるなんて…
「初めましてイラストレーターの〇〇と申します。あなたが自分で描いたとツイートしているイラストですが、それは私が描いたものになります。あなたのやっていることは著作権侵害です。今すぐにツイートを削除して謝罪していただけなければ法的手段をとらせていただきます。」
著作権侵害?そんな難しい言葉わかんないよ。俺、訴えられちゃうの?
モヤパンからのアドバイス
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その人の思想や感情を人のマネではなく創作的に表現した作品のことを著作物と言うわ。イラストも著作物のひとつ。そして、その著作物がどのように使われるかを決めてよい権利(著作権)は、著作者が持っています。
ネットでは簡単に画像検索や保存、コピー&ペーストができるけど、今回のように第三者であるヒカルくんがSNSに投稿する場合は、著作者の許可が必要になる。著作者の許可を得ずに無断でインターネットに投稿した場合、他人の財産を無断で利用したとみなされ、著作権法という法律に違反する可能性が大きいわ。
しかもヒカルくんの場合は他人の著作物を「自分が描いた」と主張しているからかなり悪質なケースと判断されてしまうかもしれない。ヒカルくんは自分の自己顕示欲を満たしたいという軽い気持ちで投稿したのかもしれないけど、膨大な時間と想いをかけて創作された作品はクリエイターにとっては自分の魂と言っても過言ではないのから、著作権の侵害は許される行為ではないの。
今回はヒカルくんも投稿を削除した上で、誠意をもって謝罪するべきだと思うわ。
万が一、訴訟(差止めや損害賠償)といった法的な手続きやお金が関わりそうになったら、すぐに大人に相談してね。こちらも参考に
こちらのWEBサイトに著作権についてインターネットで気をつけるべきポイントがまとめられているから見てみてね。
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もしも、炎上してしまったら…
SNSが炎上しはじめたら、煽ったり嘘を重ねたりすると、さらに燃え上がるから注意よ。時間が経てば収まることもあるから、何も発信せずに静観しているのが一番いいとおもうわ。
炎上がエスカレートして、今後の生活に支障をきたす可能性があるようだったら、保護者や学校など周りの大人に相談してね。
インターネットはとても便利なものだけど、同時に使い方を間違うとカンタンに人を傷つけてしまう怖いものでもあるの。
あなたがトラブルの被害者にも加害者にもならないためには、軽い気持ちで行動せず、インターネットの危険性を意識して、慎重に使うことを心がけてね。
監修者からひとこと
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古賀 大吉教育ネット総合研究所 研究所室長
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私たちの生活にインターネットが活用されてから30年ほどでしょうか。多くの人とつながることができ、たくさんの情報を得ることができるインターネットは私たちの財産です。しかし、何事もメリットと危険性も含めたデメリットがあります。両方の面を知り、ネットとの良いつきあい方をみなさんと一緒に考えていきたいですね。
監修
古賀 大吉(教育ネット総合研究所研究所室長)
弁護士法人ノーサイド法律事務所