精液を飲むと肌が綺麗になるって本当?
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福元和彦
福元メンズヘルスクリニック 院長
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精液を飲むことで肌がきれいになることはありません。
精液の成分は赤ちゃんのもととなる精子が1%で、残りの99%は精子が動き卵子に授精するために必要な液体です。
精液にはお肌をきれいにするようなホルモンやビタミンなどの成分は含まれていないですよ。1回の射精で出てくるのはわずかに2〜4mL、それを飲んでも胃の中ですべて分解されてしまうから精液を飲むメリットは無いと考えてね。
もしお肌をきれいにしたいなら、精液ではなく適切なサプリメントを飲んだ方がいいと思いますよ。
もちろん精液を飲んでも妊娠することは無いですよ。逆に精液を飲むことにはデメリットがあるんだ。それは性感染症。
もし性行為の相手が性感染症になっていたら精液には多くの菌やウィルスが含まれているんだよ。
だから精液を飲むことによって喉の粘膜などに感染して性感染症になる可能性があります。まれに精液の成分にアレルギーを持っている人もいるんだ。
その人は精液に触ることでかゆくなったり皮膚が腫れたりして体調が悪くなってしまうよ。パートナーが喜んでくれること以外に精液を飲むことのメリットはないんだよ。
精液を飲むことを強要しないこと、そして飲みたくないときはイヤということは大事なことだよ。
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有馬祐子
看護師/助産師/保健師
日本思春期学会理事 -
「健康にいいこと」や「肌や、髪をきれいにすること」に、関心がある人はたくさんいると思います。
精液を飲むことについて一緒に考えてみましょう。精液は、人の体から出てくる「体液」のひとつです。
私たちが日常生活で他者の体液に接触する場面では、例えば唾液に接触する歯科医師、採血をする時の看護師は、使い捨ての手袋をしています。
体液は、その人の体から様々なものを誰かに「感染」させる可能性があるからです。
体液に接触する可能性のある人は、自分の健康を守るために、そのような予防策をとっています。このことから、「精液を飲む」(誰かの精液が自分の口やのどを通って体内に入る)ということは性感染症が起こる可能性のある、とても特別な行為であることがわかると思います。
(精液は、通常ドリンクとして扱うものではないのですから!)「精液を顔にかけること(顔射と呼ばれる行為)」も、目の粘膜や鼻の粘膜から性感染症が起こる可能性があります。
唾液も血液も、体液にはそれぞれのにおいがあります。
精液にも精液としての独特なにおいがあります。「においが嫌い」「飲むことに抵抗感のある」、そういう方もいます。性行為の際に「自分の精液を飲んでほしい」という要求をされた時、まずは自分がどうしたいと思うか考えてみていただきたいです。
それぞれが相手を思いやって、心も体も安心できる関わりを体験されることを祈ります。
「パートナーからの要求は、必ず応じなければいけない」と感じて、「いやだけど従った。断れなかった。」ということでは、心に傷が残るのではないでしょうか。「精液を飲むことは肌にいい」などと、医療者が積極的に精液を飲むメリットを伝えることはないと思います。
デメリットとしては、体液のひとつである精液によって性感染症が起こることがあります。
喉に感染した性感染症の検査は婦人科や耳鼻咽喉科、保健所などでできます。
一方で、「口から精液が体内に入る」ということ、その行為そのものでは妊娠する可能性はないと思います。
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まな
TENGAヘルスケア 広報
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精液を飲むと肌が綺麗になる…ネットやSNS上で見かけることがありますね。
上記の先生方も仰るように、科学的根拠がない噂であると言えます。中には、飲んで効果があった!といっている声もあるかもしれません。
ですが、それは思い込みによるものである可能性があります。精液を飲むことによって、のど・性器間の性感染症のリスクが高まるなどのデメリットがありますが、なかなかこちらの方が知られていない気がします。
もし周りのお友達で、知らない人がいたら教えてあげてください。それに、もし本当に美肌効果があるのなら専門家が積極的に勧めていくでしょう。
実際は、ヒトの精液を成分として含んでいる美容液のような製品は恐らくないですし、地道に美容向けの商品を使うのがいいかなと思います。
AVなどのアダルトコンテンツではそういったプレイが行われていることもあるかもしれません。
ですが、AVは、設定が過激なことがあります。現実の恋愛や性行為に安易に持ち込もうとするのは少し考えてみたほうが良いかもしれません。
こういった真偽不明の、都市伝説みたいな噂はSNS上にあふれていますし、「嘘っぽいけど本当かも?!」と、なんだか試してみたくなる気持ちもわかります。パートナーがお互いのみで、性感染症検査などをクリアしている場合や、お互いの同意があり、どうしても気になる場合は、試してみる選択肢もあるかもしれません。
ですが、パートナーが複数いる場合、体調が万全でない場合、「相手を自分の言うとおりにさせたいから飲ませたい」「自分は嫌だけど相手に頼まれたから仕方ない」などの気持ちがある場合や、躊躇(ちゅうちょ)する場合は、やめておいたほうが自分のためにも相手のためにもなるかなと思います。
自分のからだのために、リスクが無いかを考えて行動できるようにするのは、年齢を重ねてもとても大切なことなので、こういった機会にぜひ考えてみてください!