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岩室紳也
泌尿器科医 ヘルスプロモーション推進センター代表
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このような的確なアドバイスを部活の先輩からもらえる関係性とコミュ力に拍手です。
また質問のようにその真偽のほどを確認することは非常に重要です。尿検査の検査項目は「蛋白」「潜血」「糖」です。
尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱に溜められ、尿検査の際に尿道を通って排出されます。
特に病気がない場合は尿の中に蛋白や血液、糖分が検出されないため、様々な病気の早期発見の手段として尿検査が行われています。男子がオナニーをすると、射精された精液は尿道を通してペニスの先から体外に排出されますがこの際に尿は出ません。
すなわち、尿も精液も同じ尿道を通して体外に排出されるのですが、体に異常がなければ基本的には同時に排出されないような仕組みを備えています。オナニーをした際にすべての精液が体外に排出されるのではなく、少しは尿道の中に残ります。
もし尿検査の際に採取した尿がオナニーの後の最初の排尿によるものであれば、採取された尿の中に尿道の中に残っていた精液を含むことになります。
精液には蛋白質が含まれるだけではなく、射精の際に前立腺や精嚢腺等が収縮することによる軽微な出血が起きていれば潜血反応が陽性になります。尿検査のための尿を採取する際には「排尿時の最初の尿は捨て、その後の尿を一部採取する」という指導が行われているのも、尿道に残っている精液等を洗い流し、腎臓で作られ、尿管を通り、膀胱に溜められた尿を正確に検査するためです。
オナニー後に一度は排尿をしていても、尿検査のための排尿と同時にオナニーの際に排出しきれなかった精液が尿に混じれば同じ結果となります。
ちなみに女子のオナニーでは基本的に尿に何かが混入することはないので、尿検査には影響はありません。
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高橋怜奈
産婦人科専門医、医学博士、性教育認定講師、YouTuber
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尿検査の前日や当日にオナニーや性行為をすると、男性の場合は尿道内に精子が残ってしまい、尿蛋白が陽性になることがあります。
そのため、正しい結果が出ないことがあります。
ただし、オナニーや性行為後、何回かトイレに行って尿をすると精子が排出されるので尿蛋白は出なくなります。女性の場合は男性のように精子が残ってしまうということがないので、オナニーや性行為をしても問題ありません。
ただし、激しい性行為やオナニーの刺激で出血があったりする場合は尿に血が混じってしまい正しい結果が出ない事もあります。男性は精子が通る道が尿も通るため、女性の場合は腟と尿道が近いため、オナニーや性行為で結果が変わる場合があります。
尿検査で引っかかってしまうとまた再検査になってしまうため、心配な方は男性も女性も、念のため前日や当日はオナニーや性行為を控えた方が安心かもしれません。