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柴田 綾子産婦人科医/淀川キリスト教病院 産婦人科所属
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乳首がへこんでいると心配になると思います。
乳首(乳頭)が陥没していることを陥没乳頭(かんぼつにゅうとう)と言います。
正確な数字は分かりませんが、陥没乳頭の方は10~30人に一人いる※と言われています。
※頻度についての海外の文献はこちらとこちら乳首の形は、一人一人違います。
陥没乳頭だからといって、変とか、おかしいというわけではありません。
生理がきて体が大人になると(二次性徴)、乳頭が出てくることが多いです。陥没乳頭の方では、次のような治療をおこなうことがあります。
・指などでひきだす
・吸引カップなどでひきだす
・手術で乳頭を持ち上げるこれらの治療は形成外科や乳腺外科でおこなわれています。
陥没乳頭の方では、乳頭に炎症がおこりやすいと言われています。
もし乳頭の痛みが続いたり、出血や汁のようなものが出てくるときは、乳腺外科へ受診して相談してください。参考文献
1.「日本形成外科学会」陥没乳頭
2.日臨外医会誌 第58回 総会教育講演「乳房の形成外科」聖マリアンナ医科大学形成外科 酒井成身
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有馬祐子看護師/助産師/保健師
日本思春期学会理事 -
乳首のへこんでいる感じが気になっていらっしゃるのでしょうか。
小学校の高学年にもなると、「自分のからだ、友達のからだがそれぞれ違う」ことが気になってくるように思います。
バストの形も、乳首の形や色も人によって違います。10代から20代前半までは、からだの成長・変化が大きいので、今心配されていることが特に何もしなくても変わっていく場合もあります。へこんでいる乳首を「陥没乳頭」というのですが、成長していくにつれて気にならなくなったという方もいます。
今、乳首が痛かったり、乳首から何か汚れのかたまりが出来て嫌なにおいがしたりすることがないのであれば、様子をみていて良いと思います。
(どうしても気になる場合は乳腺外科の受診をし、急いで治療を始める必要があるか尋ねてみることおすすめします。)
妊娠し、出産を迎えようとする時も、乳首は成長し変化します。
陥没乳頭といわれていた方が、出産後に授乳を繰り返すことで乳首は柔らかく伸び、陥没気味な姿とは違ってくるというケースに、私は数多く出会ってきています。これらのことから、「陥没乳頭は将来治る」という表現よりも、「将来気にならなくなって、機能的にも支障がない状況になる」という方がふさわしい気がします。
何か手当てを考えるのであれば、からだが成長している時なので、バスト、乳首が締め付けられて苦しくならないような下着を選ぶようにするのがいいのではと思います。ここまでの情報から、お友達とお風呂に入る時の恥ずかしさについては、「人によって乳首の色も形も違うんだって。」「今、成長途上だから将来変わってくるって。」ということを理解していれば、少しは気持ちを楽に持てるかもしれません。
また、他者のからだ、特にプライベートゾーン(口・胸(乳首も含みます)・パンツの中に隠れている性器周辺)は、一人一人違っています。
友達のからだが自分と違うことに気づいたとしても、相手が傷ついたり悩んだりする可能性のある発言(例えば、「毛深いね」「乳輪が大きいね」「乳首の色が濃くない?」等)は、しないように気をつけていただければと思います。私は助産師として、様々な方のからだのお世話を経験してきていますが、(毛深い方も、乳輪が大きい方も、乳首の色が濃い方も確かにいらっしゃいます。)どの人のからだも「健康的」と感じます。
多くの人のからだを見る機会が少ないと不安な気持ちもあるでしょうが、「成長していく自分のからだを、どうぞ受けとめてみてくださいね。」と思います。

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