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徳永桂子思春期保健相談士
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バウンダリーについて、まず、自分のからだでイメージしてみましょう。
自分を立体的に囲む透明のバリアのようなもの、ガチャガチャで出てくるプラスチックの固いボールではなくて、柔らかな膨らんだり小さくなったりするもの、シャボン玉をイメージしたほうが近いかなあ、でも割れたりせず柔軟でしっかりと大切な自分を守ってくれるもの。
もちろんプライベートゾーン(口・胸・性器)は大切だけど、相手によっては背中などに触られるのもイヤって感じることあるよね。
誰にとっても、自分の体は自分だけの大切なもの。
この体に誰がどのように触れるか、決めて良いのは自分だけです。からだでバウンダリーがイメージできたら、さらに広げてみましょう。
物理的なものには自分の部屋などの空間、持ち物、時間などもあります。
心理的なものには、自分の考えや気持ち、価値観などがあります。からだに触れるのがどこまでOKか、自分の物を貸すかどうか、プライバシーをどこまで話すか、などは「2人の関係性によって違う」というのが大きなポイントです。
相手にもバウンダリーがあります。
だから相手がどうしたいか、どう考えているかをしっかり聴いて、こちらの思いや考えもしっかり伝えて、お互いに同意を確認しながら関係を作っていくことが必要です。
バウンダリーを越えられる・越えることは、基本的人権の侵害―つまり人の尊厳を傷つける行為になります。そういう一人ひとり違う「大切な自分」が集まって社会を作っているので、みんなが安全に安心して暮らしていけるように様々なルールがあります。
これは社会的なバウンダリーと呼ばれています。
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染矢 明日香セイシルアドバイザー/NPO法人ピルコン理事長
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「バウンダリー(boundary)」は英語で「境界」や「境界線」という意味です。
実際に線が見えるわけではないけれど、「ここまでなら安心できる」という自分を守るラインや、自分を守る透明バリアと表現されることもあります。
心理や性教育の分野では「自分と他人との間の距離感を守ること」として使われることが多いです。
人はそれぞれ考え方や感じ方が違うので、お互いに安心できる距離感を大切にする、ということですね。例えば、仲の良い友達と毎日チャットしたい人もいれば、会った時に話せれば十分という人もいます。
どちらも正解で、それぞれの心地よさ=バウンダリーがあるわけです。
また、バウンダリーは状況や気分によっても変わります。
だから相手の境界をこえる時には「〇〇してもいい?」と同意を確かめることが大切です。
逆に、自分のバウンダリーを知り、勝手にこえられそうな時は断ったり距離を取ったりすることが自分を守ることにつながります。また「プライベートゾーン」は、下着で隠れる性器・胸・おしりと口など、自分だけの特別大切な場所を指します。
体はすべて大切ですが、この部分は特に命や性に関わるため、自分だけが自由に見たり触ったりしていい場所です。
他の人のプライベートゾーンを勝手に見たり触ったりしてはいけませんし、他人にむやみに見せたり触らせたりしないところです。こうした言葉は、日本ではまだ新しく、もともとぴったりと対応する日本語がありませんでした。
でも今、学校でもこれらの言葉が紹介され始めているのは、子どもの人権を大切にしようという動きが広がってきた現れでもあります。新しい言葉を知った時に「どういう意味だろう?」「他の言葉と何が違うのかな?」と考えることは、あなたの学びを広げる第一歩です。
また何か知りたいと思ったときは、セイシルや信頼できる大人に聞いてみてくださいね。

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