異性になりたい
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坂井 雄貴
家庭医・総合診療医/
一般社団法人にじいろドクターズ
代表理事 -
性のあり方について「性表現」という考え方があります。これはどんな性として社会や周りの人に認識されたいかを表す言葉で、からだの性やこころの性、好きになる性とは違う、性の要素の一つです。
ご相談からは、自分としては心も体も女と思うけど、「性表現」を男性らしくしてみたい、そんな気持ちがあるんだと思いました。「異性になりたい」という気持ちについて、周りの人に自分を「男」として見てほしいのか、あるいは自分は女性だけど、男性が世の中でやっているような髪型や呼び方、服装が好きで、それらを周りを気にせず楽しみたいのか。どちらの方が近い感覚でしょうか?
分かりやすく言えば、望む格好や見た目をすることで、男性と認識されたらどんな気持ちになる?といったことを少し考えてみてください。その上でおすすめするのは、自分の部屋など周りに人がいない場所で、なりたい姿に一度なってみることです。顔を変えることは難しくても、たとえばウィッグをかぶってみる、ボーイッシュな服を着てみる、一人称を「俺」と声に出してみるのはどうでしょう?それができたら、遠出をしてみたり、たくさん人がいる都会に行ってみたり、自分を知っている人があまりいない場所で、望む姿で少し過ごしてみるのもいいかもしれません。その時にどんな気持ちになるでしょうか?
実生活体験(Real Life Experience: RLE)という考え方があり、自分が望む性のあり方で過ごしてみる体験をすることで、自分が本当に心地よく過ごせる性のあり方についてじっくり見つめることができます。性のあり方は人それぞれ、みんな違います。
世の中の多くの人が男女の二つに分けていることも、はっきり分けられなかったり、変化したり、どちらにも当てはまらないということがあり、それはおかしなことでも恥ずかしいことでもありません。
自信を持って、あなたが感じる自分らしい性のあり方を見つけられることを願っています。
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遠藤まめた
にじーず代表
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髪型をどんなふうにするかは個人の自由だし、一人称も誰かが正解を決めることではないから、自分がやりやすい方法で少しずつ試してみるのはどうだろう。例えばメンズの服を持ってないなら、まずは買い物にいって色々試着してみるとか。髪型も「こういう髪型にしたいんだ」って写真を美容師さんに見せてみるとか。試着したり、実際に髪を切ってみる中で、何が似合うかだんだん分かっていくから、まずは行動してみるのもいいんじゃないかと思います。
親御さんは「女の子らしくしなさい」とか言う人なのかな?服装や髪型にも口を出しそうなのか、一人称なら別にほっといてもらえるのか、その辺はやりながら確かめるのでもいいんじゃないかと思います。親御さんの服装ではないし、親御さんの髪の毛を切るわけではないのだから、本当であれば自分で決めて良いことだよね。
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生島嗣
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なりたい自分に近づくための道筋に、正解はありません。ぜひ、自分の気持ちを大切にしながら、解決方法を探してみてください。ゆっくりと時間をかけ、行動してみましょう。
一人でもやもやと考えていると、最悪のシナリオを考えてしまうことがあります。
まずはLGBTQ+向けの相談を利用してみるのはいかがでしょう。今、どんな風に感じているかを声に出してみると、自分の気持ちが整理されたりします。また、今できることのアイデアが増えるかもしれません。電話やチャット相談などがありますが、相性もあるので、何箇所か試してみてください。また、LGBTQ+向けのミュニティセンターやミーティングも、少しずつ増えてきました。多様な人たちと交流することで、さまざまな気づきや発見があるはずです。似ているなっていう人がいるかもしれませんし、違う大変さを抱えている人に出会うかもしれません。でも、それぞれ違っていてもOKなのです。
繰り返しになりますが、正解があるわけではありません。
一番の手がかりはあなたの心の動きです。それを大切にしてください。
応援しています。