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早乙女 智子
産婦人科医
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SMといってもソフトなものから、身体を壊しかねないハードなプレイまであります。
「サッカーに興味があるのですがおかしいですか?相手に引かれますか?」とは聞かないように、SMに興味があること自体はおかしなことではありません。問題は相手もそのSMプレイについて来られるのかどうかでしょう。性のことは、もともとの興味や経験などによって変わっていく面白さと、上手くいかないリスクがあります。性的同意といって、納得・了解できる範囲を超えると性加害(相手の尊厳を傷つけること)になりうることを押さえておきましょう。その上で、相手の了解が取れる範囲で性的な反応を引き出したり、健康を損ねない範囲で身体を使った遊びをするのはいけないことではありません。
その一方で、AVなどでは、犯罪系として実際に犯罪行為を映したものも出回っています。何に嫌悪感や高揚感を感じるかは人によって違いますが、犯罪と感じるものは止めましょう。可能な限り、言語や身体感覚で相手との空気感をつかみ、お互いが性を楽しめるように工夫することで、豊かな性生活につながっていくでしょう。
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福田眞央
TENGAヘルスケア教育事業部/保健体育教員/思春期保健相談士
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犯罪ではない限り、何に対しても興味をもつことはあり得ますし、おかしいことではないと思います。それは未成年でも同じことです。ただし、SM(「サディズム:他者に痛みを与えることから快感を得る性向」と「マゾヒズム:痛みを受けることから快感を得る性向」を指す言葉)は相手がいて成り立つものです。相手が理解してくれない可能性はもちろんあります。SMに興味があるあなたも、もしかするとSMに対して引いてしまう相手もどちらも尊重すべきです。
SMの基本原則として、Safe(セーフ:安全)・Sane(サネ:健全)・Consensual(コンセンシャル:合意)のもとで、相手との信頼関係の中で行う特別な関係の一つということがあります。メディアの中でSMを見つけて興味を持ったのかもしれませんが、リスクを管理するための方法やルールが大切です。まずは、このSMに興味を持つ前に知っておくべきことを紹介します。
第一に、お互いが何をするのか、という情報は適切に理解しておきましょう。その上で、相手とのコミュニケーションはとても重要です。もし相手も興味を持っていたとしても、お互いの気持ちや不安をしっかり伝え、共に理解することが大切です。
例えば、何かをする前に、もし途中で「やめたい」と思ったら、それを伝える合図や言葉を決めておくと安心ですね。そして、【毎回】相手がしっかりと同意しているときだけ行動しましょう。誰かに強制されたり、無理やりやらされることは絶対にダメです。性的な行為に対する同意を「性的同意」と言います。詳しくはセイシルのサイトを参考にしてください。
また、事後も相手とお互いの気持ちや反応について話し合う時間を持つことが大切です。以上を踏まえた上で、まずは2人がどんなコミュニケーションをしたいと思うのか、オープンに言い合える関係を目指してみてください。