アウティングされました…

信頼して友だちにカミングアウトしたのに、あなたに許可なく他の人にバラされた（アウティングと呼びます）こともショックだし、その後、いじめられていることも本当に理不尽で辛い状況だと思います。先生に勇気を出して相談したこと、本当にがんばったね。先生が気持ちを理解してくれて、寄り添ってくれたのは嬉しいよね。

先生は困っている生徒の相談にのったり、いじめが起こっている場合は解決に向けて具体的に動いたりするのが仕事。いじめは許さないと先生がキッパリとした態度を示したり、学校全体で性の多様性について学習をしたりなどが行われているといいなぁ。だからこれからも頼っていいよ。

ただ先生は、学校の生徒に対して公平な立場でなくてはならないよね。だから先生が生徒と恋愛関係になるのは、職業上の信頼を失うことになってしまう恐れがあって、あなたが気持ちを打ち明けたら先生は断る必要があります。それから2022年4月に「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が施行されて、先生は生徒との私的なSNSなどのやり取りも禁止されたんです。

恋をするとその人のことをもっと知りたい、近づきたいという気持ちになることが多いんだけど、それを行動に移すことは、あなたが言っている「迷惑」になる可能性があります。ということで、先生への相談は学校の中でする、他の人が見て誤解してしまうのを避けるために先生と身体的な距離をとるようにする、ことを意識してね。

もちろん、あなたの先生が好きって気持ちは自分の中から自然に湧いてくるもので、とっても大切で素敵なもの。恋する気持ちがエネルギーになって色んなことに前向きになれたり頑張れたりするといいなとエールを送ります。

先生のことを好きになって、とても豊かな時間を過ごせたのではないかと思います。

その反面、信頼していた友人がみんなにバラしてしまったのはさぞかしショックだったでしょう。それがキッカケとなっていじめを受けているというのも辛いことだと思います。

その辛い気持ちを先生が受け止めてくれたのですね。しかも、自分がバイセクシャルであることを打ち明けてくれたのですね。

同性を好きになるという気持ちを理解し、自身のセクシャリティについて生徒に打ち明けることができる先生だからこそ、今あなたが受けているいじめについて、先生と一緒に考えたら良いと思います。政府の「いじめの防止等のための基本的な方針」でも、性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒に対するいじめの防止が明記されています。

そして、学校全体で性の多様性について勉強し、同性を好きになることが特別なことではないことを理解してもらえると良いですね。その際、先生を通じて、あなたがこれ以上傷つかないために何が必要か、性の多様性について学習するタイミングやその方法など具体的に考えると良いと思います。もちろん、生徒だけでなく先生たちがきちんとした知識を身につけることは当然のことです。性の多様性に関する正確な知識を持っていない先生が不用意に生徒を傷つけてしまうようなことはあってはならないことです。

ただ、先生がアウティングやいじめについて真剣に考えてくれたからといって、ただちにあなたに対する愛情につながるわけではないことは理解しておく必要があります。

生徒がいじめで悩んでいる時に、気持に寄り添いどうすればいじめがなくなるのかを考えるのは先生として当然の役割です。

先生という立場上、特定の生徒だけを特別扱いすることはできません。

あなたは、先生に迷惑じゃないか心配と悩んでおられますが、このことからも、あなたが、先生の立場を理解し、先生の迷惑にならないよう配慮ができていることを感じます。

そういうあなただからこそ、生徒と先生という立場である間は節度をもった関係を保てるのではないかと思います。

あなたが学年のみんなに今いじめられているとのこと、あなたは何も悪くないのに、どんなに辛い思いをしているのか…計り知れません。あなたが想うその先生以外の先生や、保護者などの他の大人は、そのことを知っているのでしょうか。

知らせるかどうかは決して強制ではありません。いじめの相談をするにあたって、あなたの恋愛対象に関するカミングアウトが迫られるかもしれないからです。あなた自身が決めることなので、他の大人には誰一人言いたくないと思うのであれば言う必要はありません。ただ、あなたに寄り添ってくれる大人は必ず他にもいると思います。その先生と一緒でも良いので、他の大人にも聞いてもらってあなたの味方を少しずつ増やしてみるのはどうでしょうか？

また、自分が苦しんでいる状況で、その先生に迷惑がかかるんじゃないかと、他の人を心配できるあなたの優しさに感動しました。私は、もともと学校で先生をしていましたが、生徒からの相談にのることに迷惑だなんて一度も思ったことはありません。むしろ、相談してくれるほうが、先生の仕事として、あなたたち生徒が何に困っているのか、どうすれば良いのかを考えやすくなります。

なので、あなたは心配せずに、学校の先生は誰でもいつでも頼ってくださいね。