ノンセクシャルは性嫌悪?
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徳永桂子
思春期保健相談士
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自分を表す言葉と出会うことって、自分を客観視できたように感じたり、名前があるから一人じゃ無いんだって思えたりするよね。
ノンセクシュアルについては、言葉の定義が定まっていないというか、使う人によって少し意味が違ったりするけど、あなたは、性的欲求は抱かない(エロス的な好きの気持ちは持たない)けど、ロマンティックな気持ちは持つ人ということなのかな?
性的欲求を抱かない人の中には、ロマンティックな気持ちを持った人から求められたときに、全く触れ合いはしたくない人、キスはしたくないけど手をつなぐやハグはOKの人、キスもOKの人と、ここにも多様性があります。
性嫌悪については、性的な接触だけではなく、性的な接触をイメージさせる絵や言葉にも嫌悪の気持ちを持つ人もいます。性的な被害など辛い経験をした人だけではなく、こだわりから性に関わることを汚いとかいやらしいと感じて避けたいと思う人もいて、ここにも多様性があります。
自分のこの特徴は少数派に属するんだなって感じた時に、名前がつくことで安心できたり、周りに説明しやすくなったり、理解してもらいやすくなったりするよね。また、インターネットなどで仲間とつながりやすくなって、コミュニティへの参加も可能になったりします。
ただ、最初にも書いたように言葉は人によって使い方が違うこともあるので、他人があなたを枠にはめ込もうとしたり、決め付けて誤解してしまったりすることも起こるかもしれません。そのことを分かっておくと、実際に起きたときに対処がしやすくなると思います。
人を呼ぶ名前は、誰かが他人を定義するためではなく、その人自身のためにあると私は思っています。あなたが自分自身を表現しやすくなり、安心して人とつながれるようになるために、名前や言葉と出会ってくれたら良いなと思っています。
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ラビアナ
性教育ドラァグパフォーマー
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私の言葉ですんごく分かりやすく伝えるとするのであれば、ノンセクシャルはセクシュアリティのあり方のひとつ、自分の個性で、性嫌悪症は治療することが対象となる心の状態・心の病気のひとつと説明するかな。
アメリカの精神科学会より発行されている「精神障害の診断と統計マニュアル」によると、パートナーとの性器接触に対し過度な嫌悪感を抱いたり、回避する行動が性嫌悪症(性嫌悪障害)に該当するらしい。
ノンセクシャルやアセクシャルは、性的なことに関心興味を抱かないこと(場合によっては恋愛感情を持たないなど、ここにもグラデーションがあるよ)と定義されることが多く、性嫌悪症と大きく異なるのは強い拒否感や不安感があるかないかという部分かな。
例えば、長年付き合っているパートナーがいて大好きだけど家族のように見えてしまうからセックスができない/そのことを考えると気持ち悪いと思ってしまうというのは性嫌悪症の一例になると思う。
もちろん、ノンセクシャルである場合、「恋愛・結婚しないといけない」「カップルだからセックスするのはあたりまえ」という社会や周りからの圧力で不安を感じることもあるかもしれないけど、その不安感とはちょっと違うのがわかるかな?
どちらにも言えることだけど、もちろんそれぞれの中にもグラデーションや強さの程度があるし、自分の身体やセクシュアリティのことは自分以外の誰にも決められず、尊重されるべきだと願っているよ。