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有馬祐子
看護師/助産師/保健師
日本思春期学会理事 -
ヒトの受精は、どのように成立するのか、気になるところだと思います。一緒に考えていきましょう。
精子(せいし)は、(男の人の)尿道口から精液にまざって出てきます。
(女の人から)排卵した卵(らん)は、受精をしなかった場合は月経血(げっけいけつ)と共に腟から出てきます。
体の中でつくられた精子と卵の出口のことを考えてみると、男の人の尿道口と、女の人の腟が受精のために使われることが想像できるのではないでしょうか。精液が出る時、陰茎は勃起して固くなりますが、それは子宮の入り口に精子を届けやすくするため、腟の中に陰茎を入れやすくするためのはたらきでもあります。(陰茎がやわらかかったら、腟の中に入れられません。)
腟の中に陰茎が入り、腟の中で射精されると、子宮の中に精子が移動していきます。
その速度は1分間に2〜3㎜といわれます。射精後1〜2時間後には、卵管にある卵に精子が到達して受精が成立します。ヒトの受精は、医療的な技術の支援を受けて行われる場合もありますが、自然な営みとしての受精は、①男の人が勃起する、②男の人が、女の人の腟内に陰茎を挿入する(性交する)、③男の人が腟の中で射精する、④女の人から排卵があり、卵管内に卵が移動してきている時に精子と出会う、このようにして成立します。
つまり、性交(セックス)、性的な関わりがあって受精が成立するというわけです。
男の人の尿道口、女の人の腟、どちらもプライベートゾーンの中にある部分です。性交は体の特別な部分のふれあい、関わりです。
デズモンド・モリスという動物学者の「ふれあいの12段階」(「親密さの12段階」)という理論があります。人と人が親しくなっていくには、時間を必要としますし、お互いの同意がなければ、親しいつもりの行為がハラスメント(嫌がらせ)になってしまいます。
自然な営みでのヒトの受精は、「性器から性器」のふれあい、親密さの関わりをもって成立します。
体の関わりだけではなく、心と心の関わりについても考えて、「受精」という現象を見つめてみていただきたいと思います。
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大石真那
NPO法人HIKIDASHI代表/保健師/思春期保健相談士
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そうですよね、受精のことを習うと「じゃあ精子と卵子はどうやって出会うのか?」と不思議に思うのはとても自然なことだと思います。
ところで、精子や卵子がそれぞれの体のどこで作られるのかということも習いましたか?
精子は男性の体の「精巣」というところで作られて、おちんちん(ペニス)の先から体の外へ出てきます。これを「射精」と言います。
卵子は女性のお腹の中の「卵巣」というところにあり、そこからだいたい月に1つ飛び出てきて(これを「排卵」と言います)、卵管というところで精子を待っています。ですので、精子と卵子が出会うためには、より卵子に近いところで射精をして精子を卵子のところまで送り届ける必要があります。
卵子が精子を待っている卵管は、子宮、そして膣というお部屋から体の外へ繋がっているので、その膣にペニスを挿入して、そこで射精をして、精子を卵子のところへ送り届けるというわけです。動物の交尾のことをどこかで習ったことがありますか?それと同じ仕組みですね。
ヒトの場合はそれを「性交」または「セックス」と呼びます。
文字だけではなかなかイメージしにくいと思うので、詳しくはこちらのリンクを参考にしてみてください。または私の書いた「げっけいのはなし いのちのはなし」という絵本をぜひ読んでみてださいね。
3件のコメントがあります
私も知らなかったので勉強になりました
2025.06.15 23:57ちんちんからおしっこ以外のも出るんですね
すごいです
精子が体の中入ってくるってどんな感覚なんだろう なんか怖いなぁ
2025.06.15 23:50私もこの事に疑問を抱いていたので、知れて良かったです。ありがとうございます。
2025.06.15 12:41